【2024年1月更新】ニッケルハルパ購入ガイド

ニッケルハルパ

ニッケルハルパを知った
ニッケルハルパを実際に見た
ニッケルハルパを体験してみた
次はニッケルハルパが欲しい、となるはず。

ところがなかなか情報が手に入らず先に進まないのではないでしょうか。
どこで買えるのだろう。
値段は幾らぐらいするのだろう。
たくさんの時間や手間がかかる印象があるのでは。
それは僕がニッケルハルパを手にしたときからあまり変わっていません。

ニッケルハルパの購入に関する情報は昔からさほど変わらず。
とはいえ確かに増えてきています。
そこで2024年1月現在での最新情報をまとめました。
参考になれば幸いです。

※経験に基づく主観が含まれています。

はじめにの前に〜ニッケルハルパは高いのか(2014年1月考察)

後のセクションでも書いている通り、2024年1月現在で新品のニッケルハルパを買おうとすると
大体60万円前後というのが最低ラインになってきています。
中古のニッケルハルパでも40万円前後からというのが一般的です。
これらの値段が高いのか、安いのか、妥当なのか。
原因は何か。
そういったことを考えてみました。

為替の影響はどの程度か

日本円(JPY)とスウェーデンクローナ(SKE)の為替は2024年1月現在14円程度。
2010年1月でおよそ12円台の後半でした。
この14年で1円程度の円安傾向です。
2013年に16円台の後半まで円安を駆け上り、その後下がったり上がったりという感じです。

JPYとユーロ(EUR)の為替は同じく2024年1月現在158円程度。
2010年1月でおよそ125円〜130円。
2016年頃に112〜113円程度まで円高となるものの、その後はジリジリと円安傾向です。

SKE建、EUR建いずれもこの14年間でおよそ2割程度の円安傾向。
2010年に30万円でニッケルハルパを買ったとしたら、同じものを今買うと36万円くらい。
日本のインフレ率はこの14年間で低いまま推移していますので、若干の割高感を持つ人も多いでしょう。

為替以外にも影響があるのか

2023年のロシアとウクライナ、地球温暖化、旱魃、寒波、移民、宗教上の対立など
世界は日々色々なあれこれがあり、物価もあれこれに合わせて上がったり上がったり、たまに下がるかもと思わせつつ上がったりします。
基本的に世の中は毎年物価が上がります。
ニッケルハルパも徐々に値段が上がります。
例えばあるビルダーに2012年頃にニッケルハルパを注文すると大体24000SKEくらいでした。
同じビルダーに2024年に注文すると35000〜40000SKEくらいです。
これは送料など一切含まない、本体のみの金額です。
日本はインフレ率が低い、あるいはマイナスになったりするのですが、
アメリカや欧州諸国では大体年2%程度あります。
2010年から2024年までざっくり15年とすると、単純計算で30%くらい(日本を除く)世界の物価は上昇していると考えられます。
2012年から2024年にかけての値上がりは点で捉えると「高い」と感じるかもしれませんが、
線で捉えると「妥当」と見ることもできます。

なぜ高く感じるのか

ニッケルハルパを既に購入した人は、「自分が買った時の金額」が基準となります。
より長くニッケルハルパを持っている人はそれだけ購入した時の金額が低めであると考えられます。
※ビルダーによって値段が違いますので、昔のニッケルハルパ=安いとは必ずしもなりません。
また、手に入れた段階で購入時「点」という点で捉えることになるので、世間一般的なインフレ率の推移や為替の動きといった「線」とは別目線でニッケルハルパの値段を見ることになります。

これからニッケルハルパを買う人にとっては、今が「点」であり、持っている人は昔が「点」。
その違いが「ニッケルハルパが高い」という(既にニッケルハルパを持っている人の)印象を与えているのかもしれないです。
この点は反省しきりです。

タマダの結論

「今の値段は今は妥当」と考えます。
「昔は安かった」は色々な意味で当たり前という立場です。
ニッケルハルパはビルダーによって値段が変わります。
一台一台手作りで、装飾や演奏性などのこだわりポイントも人によって異なるし、使う木もそれぞれです。
自分にとって「これが欲しい」と思えるニッケルハルパに出会えたら、その値段が妥当な金額だと思います。極端に高いニッケルハルパもなければ、極端に安いニッケルハルパもありません。
後は財布と相談で良いと思います。

はじめに〜なぜニッケルハルパ購入のハードルは高いのか

ニッケルハルパに限ったことではありませんが、
民族楽器や伝統音楽の場合は特に、その文化的背景を知っておくと良いことがあります。
ニッケルハルパ購入のハードルも然り。
現代の日本の感覚ではハードルですが、それは文化的背景が異なるだけ。
相手の考えを知っておけばハードルに感じることもハードルではなくなります。

楽器屋さんで売っていない

ニッケルハルパを買う。
まず当たる壁は「どこで買う?」ではないでしょうか。
楽器屋さんをハシゴしてもまず見つかりません。
それもそのはず。
ニッケルハルパは楽器屋さんでは売っていないのです。
それはスウェーデンでも同じ。
スウェーデンにはたくさんのニッケルハルパ・ビルダーがいますが、
専業のビルダーはそれほど多くありません。
大体の方は、普段は別の仕事をしていて、知人友人に頼まれればそのときに作っています。
いわば必要な分を必要なだけ作る。
このことを理解しておかないと、後々大変なことに繋がりかねません。

高くて気軽に手を出せない

例えばヴァイオリン。
数千円程度の入門用のものから、一挺数億円もするものまであります。
ギターも同様に値段の幅が広いですね。

一方ニッケルハルパ。
ヴァイオリンやギターなどと値段の幅を比べると非常に狭いです。
高くても100万円を超える程度。
ところが下限値がそれなりです。
安くても40−50万円します。
初めて買うにはなかなか勇気のいる値段です。

そんなに待てない

先にお伝えしたとおり、ニッケルハルパは基本的に職人さんに注文して作ってもらいます。
いわばオーダーメイド。
一台を作るのに速くても半年、何かがあると一年はかかります。
これよりも長い時間をかけて作る職人さんもいます。
しかもこれはオーダーリストの先頭にいる場合です。
もしあなたが注文する前に他の人が依頼していたら、その分が完成してから作り始めるため
更に時間がかかります。
欲しいときにすぐ買えない。
この問題は本当に悩ましいでしょう。

ニッケルハルパ入手のための現実的なルート

ニッケルハルパを手に入れるには、ほとんどの人が新品を購入することになります。
いささか難しいものもありますが、基本的には以下の2つのルートがあります。

  • 誰かに頼む
  • 自分で頼む

それぞれご説明します。

新品を買う

お店にオーダーする

神奈川県横浜市に居を構える楽器工房ダルシクラフト
タマダも色々とお世話になっているところです。
ダルシクラフト様は複数のニッケルハルパ・ビルダーとのコネクションがあり、
定期的にニッケルハルパの入荷があります。
入荷を待つのもありですが、いつになるか分からない、早くほしいという方は
思い切っていきなりオーダーしてもよいかと。
工房長は日本人ですので、日本語で問い合わせて大丈夫です。
ビルダーさんとのやり取りや輸入の手続きなどもすべてしてくださいます。
値段は大体60万円前後*。

*2024年1月時点では円安や物価高の影響で70万円前後からと見ておいた方がよいです。

また、ダルシクラフト様には日本で唯一のニッケルハルパ・ビルダー
をがわなおきさんがいらっしゃいます。
彼の作るニッケルハルパが出来上がるのを待つ、という選択肢もあります。

個人にオーダーする

ダルシクラフト様の他に、個人で新品のニッケルハルパを取り扱っている方がいます。
小柏奈々さんです。
小柏さんはニッケルハルパ奏者として活動しており、
毎月第三土曜日に「東京北欧セッション」という北欧音楽メインのセッションを主宰しています。
また、目黒学園カルチャースクールでもニッケルハルパの講座をもつなど
ニッケルハルパの普及に力を入れています。
小柏さんの2023年最新の活動は「N.H.E.(NipponHarpEnsemblen)」。
日本初のニッケルハルパだけのアンサンブル。
ちなみにタマダもテノールニッケルハルパで参加しています。

ニッケルハルパのオーナーに仲介してもらう

ダルシクラフト様で繋がりのあるビルダーさん以外でお気にいりの職人さんが見つかった場合、
その人のニッケルハルパを持っているオーナーさんに相談して、
最初の仲介をしてもらうという手があります。
ダルシクラフト様の創立前の一般的な手段でした。
裏を返せば、ダルシクラフト様がニッケルハルパの取り扱いを始めたことで、
ニッケルハルパ購入のハードルがかなり下がったといえます。
ありがとうございます。
ご自身がスウェーデン語や英語でのコミュニケーションができるのであれば、
より自分の欲しいニッケルハルパに出会えること請け合いです。
予算は職人さんによってばらつきがあります。
納期も状況次第です。

他には自分で職人さんに直接オーダーするというのもありますが、
過去にトラブルになった例もありますのでお勧めしません。
どうしてもこの手段でオーダーしたいのであれば、ご自身の責任でどうぞ。

中古品を探す

新品じゃなくてもいい。
スウェーデン語や英語が苦手。
そんなあなたにお勧めするのが中古のニッケルハルパを手に入れる方法です。
タイミングが良ければすぐに手に入ります。

オークションなどで探す

これまでに数度ヤ○オクで出品・落札されたことがあります。
海外のサイトではe○ayでも。
運が良ければ激安でニッケルハルパを手に入れられます。
ただ、出品者は必ずしもニッケルハルパに詳しいわけではないので、
届いてみたらとても演奏に耐えられるコンディションでなかった、ということもありました。

お店にオーダーする

先程ご紹介したダルシクラフト様では中古のニッケルハルパも取り扱っているようです。

個人にオーダーする

2023年5月よりタマダも中古のニッケルハルパの買取や販売を始めました。
ニッケルハルパだけでなくCDや楽譜など、スウェーデンの音楽に関連するものも取り扱っていきます。
入荷の際はリンク先の「販売」ページでご紹介していきます。
乞うご期待。

ツテを使って譲り受ける

日本国内にはかつてニッケルハルパを弾いていたけれどももう弾かなくなったなったという方もいらっしゃいます。
その方から譲り受けるというのも選択肢として出てくるでしょう。

ニッケルハルパ購入の前に〜触ってみませんか

ニッケルハルパが欲しいけれど、そんな大変だったらいきなりオーダーするのは躊躇してしまう。
もっと色々知ってからオーダーしたい。
そういった要求にお応えすべく、今日ではニッケルハルパに触れられるイベントが増えてきています。

ニッケルハルパ協会

日本ニッケルハルパ協会ではスペルトレフやかたつむりトレフなどニッケルハルパ弾きが集まる機会を定期的に設けています。
予め問い合わせをして、参加してみませんか。
会長をはじめ参加される方は皆様優しいので、色々と教えてくれますよ。

目黒学園カルチャースクール

先述の小柏奈々さんが目黒学園カルチャースクールでニッケルハルパの講座を開いています。
2023年3月までは毎月第四水曜日の15:30〜16:15、19:00〜19:45に行われています。
2023年4月以降の予定は目黒学園、もしくは小柏さんにお問合せください。

町屋カルチャースクール

タマダが町屋カルチャースクールでポルスカを弾いてみようという内容の講座を開いています。
ニッケルハルパだけでなくさまざまな楽器で受講可能です。
また、事前にご連絡いただければニッケルハルパを持っていきますので、触っていただくこともできます。
毎月第一土曜日の19:00〜20:30に行なっています。

ワークショップ

タマダは毎月ワークショップを行ってます。
各回定員は3名までとなっております。
トレフのようにいきなり大勢の前で一緒に弾くのはちょっと気が引けるという方、
是非ご参加ください。

まとめにかえて

最後までお読みいただきありがとうございます。
こうして書き出してみるとニッケルハルパを購入するハードルはたしかに高いですね。
しかしながら近年は少しずつ入手しやすくなっていってるとも感じます。

ニッケルハルパ購入の後押しに少しでもなれば幸いです。

おまけ〜作ってみます?

オランダで「ナーディーハルパ(Nerdy Harpa)」という楽器を作っている人がいます。
3Dプリンタで作るニッケルハルパ 「のようなもの」*1です。
これを作るという選択もあります。
送料や関税込みでだいたい5-6万円くらいで入手できます。*2
届くのは3Dプリンタでカットされた板のセットです。
切り離して自分で組み立てることになります。
模型作りに近い感覚です。
ただこのナーディーハルパ、買うだけでは組み立てられません。
糊付けの間固定しておくクランプなど工具等をそれなりに揃える必要があります。
工具は全部揃えるなら多く見積もって1-2万円程度。
工作が得意な方、
ニッケルハルパを待つ余裕がない方、
予算が厳しい方、
一度ナーディーハルパも検討してみるのもありです。


ナーディーハルパについて
材質や構造上ニッケルハルパより軽いです。
体への負担が少ないという面ではメリットがあります。
音色はニッケルハルパよりもシルベルバスハルパに近い印象があります。

*1
あくまでナーディーハルパという楽器だと思ってください。
*2
為替レートにより変動します。

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