僕は左利きです。
Louise Bylundと同じく左用のニッケルハルパを使っています。
Johan Hedinのように左利きだけど右用のニッケルハルパを使っている人もいます。
僕が左用のニッケルハルパを使うのはごく自然な流れです。
ギターやベースも左用を使っています。
ヴァイオリンの弦を逆さに張り替えて試したこともあります。
楽器、特に弦楽器をやるに当たって左利きというのは最初が難しいと感じてきました。
僕がギターを始めた頃は、左利き用のギターは店頭には在庫がまずありませんでした。
別注扱い、納期3ヶ月、代金は2割り増し。
そんなのが当たり前でした。
多くの人は左用を買うのを諦め、右用のを買い右で使う。
お金と時間があれば左用を買う。
お金と時間がなければ右用を買って弦を張り替える。
三択です。
今では左利きの店頭在庫も豊富です。
御茶ノ水の谷口楽器のように左利き用専門のフロアがあるお店も増えてきました。
ニッケルハルパは基本的に完全受注生産なので、右利きであろうと左利きであろうと注文してから届くまでに時間がかかります。
機会があるたびに言っていますが、そもそもスウェーデンの楽器屋さんにニッケルハルパは在庫してありません。
職人さんに製作依頼をして、作ってもらうのです。
注文のタイミングによっては半年くらいで完成することもあります。
基本は1年、場合によっては3年以上待つこともあります。
ここまでは条件は同じです。
ここで大きな違いが生まれます。
左利き用のニッケルハルパを作ることのできるニッケルハルパ職人が極めて少ないということです。
僕が知っているのはわずか3人。
ひとりは体調を崩して数年前から新規の製作をストップしているという話です。
ひとりは今の情報が全くなく、何をしているのか分からない状態。
ひとりは現役で作っていますが、なかなかクオリティの担保が難しい。
ニッケルハルパの世界にも左利きの抱える問題があります。
これを解決するにはどうしたら良いか。
そうだ、自分で作ればいい。
そのような短絡的な答えを出すのに時間はかかりませんでした。
ただ、なかなか実行できずにいました。
失敗したらどうしよう、などと消極的な考えの方が強くありました。
2020年。
動き出すことにしました。
理由は単純。
失敗したらと考えるよりも作りたい気持ちの方が強くなったからです。
そんなわけで、作ります。
左利きの、左利きによる、左利きのためのニッケルハルパ。
最後まで行けるか、途中で挫折するか。
どうなるかはわかりませんが、楽しみにしていてください。