ノート

ニッケルハルパやスウェーデンのフォークダンスをしているとよく耳にするけど、いまいちよくわからない。
そんな言葉を放っておくのもアレなので、メモとしてまとめています。
随時更新していきますので、お時間ある時にお楽しみください。
また、情報をお持ちでしたらぜひ教えてください。

ニッケルハルパ

クロマチック・ニッケルハルパ

現在一般的に「ニッケルハルパ」と呼ぶ際は、このクロマチック・ニッケルハルパのことを差す。
スウェーデンのニッケルハルパの場合、弦構成は演奏弦(キーのついている弦)が3本、ドローン弦(キーのついていない弦)が1本、共鳴弦が12本。
スタンダードなキーの数はA弦が20、C弦が10、G弦が7の計37。
高音部の半音を付け加えたい、低音部のキーを追加したい、などは個人の好みにより職人さんと相談する感じ。
個人的に確認の取れている最もキーの数が多いのは52キー。(A弦24、C弦14、G弦14)
一方でフランスやベルギーを中心としたヨーロッパ大陸で使われることの多い「ニッケルハルパ」は、スウェーデンの「ニッケルハルパ」のドローン弦にあたる弦にもキーがついている4弦構成。
チューニングはおそらく上からA、D、G、C。
キーの数は同じく上から22、14、14、10。
構え方はヴァイオリンなどと近い。

タンジェント

弦に触れる木のパーツ。

共鳴弦

1オクターブ内の半音階全てに対応するため12本張ってある。
チューニングはそれぞれの音に対して数セントずらす。
これは純正律の響きを擬似的に得るためと思われる。
共鳴弦専用の弦はないようで、スウェーデンでもギター弦(ダダリオなど)を用いる。

クロマチック・ニッケルハルパ以外のニッケルハルパ

エンケルバスハルパ

表記:Enkelbasharpa
18世紀に一般的だったハルパ。キーは一列、メロディ弦は一本、ドローン弦は一〜二本、六〜十三本の共鳴弦。

コントラバスハルパ

表記:Kontrabasharpa
19世紀初頭から知られている。キーは一列。メロディ弦は二本、ドローン弦は一〜二本、六〜十三本の共鳴弦。

エステルビーハルパ(コントラバスハルパ・メッド・ドゥブレック)

表記:Österbyharpa (kontrabasharpa med dubbellek )
キーは二列。メロディ弦は三本、ドローン弦は二本、九〜十本の共鳴弦。

シルベルバスハルパ

表記:silverbasharpa
編集中

テノール・ニッケルハルパ

表記:Tenor nyckelharpa
ヨハン・ヘディン考案。通常のクロマチック・ニッケルハルパの五度下の音域。重い。

オクターブ・ニッケルハルパ

表記:Octave nyckelharpa
通常のクロマチック・ニッケルハルパのオクターブ下の音域。かなり重い。

人物

August Bohlin

アウグスト・ボリーン: Augst Bohlin (1877−1949)はウップランドのニッケルハルパ奏者、フィドラー。
現在のニッケルハルパ(クロマチック・ニッケルハルパ)に改良した人。
Bohlin一族は彼の他にも優れた音楽家を輩出している。

Byss-Calle (Byss-Kalle )

ビス=カッレ: Byss-Calle (1783−1847)の本名はCarl Ersson Bössa。
Upplandの音楽家。ニッケルハルパ奏者。

Gås Anders

ゴース・アンダーシュ: Gås Anders (1815−1896) の本名は Anders Jansson Ljungqvist。
Upplandの音楽家。

Hans Börtas

ハンス・ベルタス(ボフタス):Hans Börtas (1913−2007)※発音は日本語表記しづらいため注意
DaLarna、レットヴィク Rättvik の音楽家。

Hans Dalfors

ハンス・ダルフォーシュ:Hans Dalfors(1818−1900)
Dalarnaの音楽家。

Lapp-Nils

ラップ=ニルス:Lapp-Nils(1804−1870)の本名は Nils Jonsson。
Jämtlandの音楽家。フィドラー。

Maria Sohlberg

マリア・ソールベリ:Mari Sohlberg(1886-1973)
Västra Götalandの音楽家。 

Storbo Jöns

ストルボ・イェンス:Storbo-Jöns (1807-1896)
Dalarnaの音楽家。

Viksta Lasse

ヴィクスタ・ラッセ: Viksta Lasse (1897−1983)の本名は Johan Leonard Larsson。
Upplandの音楽家。

ポルスカ

ポルスカ総論

スペル:polska
3/4拍子。
音楽的には2ないし3種類に分類される。
均等ポルスカと不均等ポルスカ。
16分音符系ポルスカと8分音符系ポルスカと3連符系(トリプレット)ポルスカ。
さらに均等ポルスカ、不均等ポルスカの分類については
①符割り
②拍の長短
2アプローチがある。
ヴァルス(vals)と同じ3/4拍子であるが、8分音符系ポルスカとヴァルスとの違いをうまく説明するのは難しい。
ざっくり説明するなら、ヴァルスは全ての8分音符が均等で、8分音符系ポルスカは不均等になる(付点がつく)といった感じになるだろうか。

8分音符のポルスカ(Åttondelspolska )

編集中

16分音符のポルスカ(Sextondelspolska )

編集中

3連符のポルスカ(Triolpolska )

編集中

コート・エッタ(Kort Etta )

英語で書くと「short first 」。一拍目が短いポルスカ。スウェーデンやノルウェーに見られる。
ボーダ(Boda )やオッシャ(Orsa )のポルスカが特徴的。
リズムの近似値は「2+4+3」で説明されるが、ダヴィド・カミンスキ(David Kaminsky )のように異を唱える人もいる。

ロング・エッタ(Lång etta )

英語で書くと「long first 」。一拍目が長いポルスカ。スウェーデンやノルウェーに見られる。
フィンスコーグ(Finskogs Pols )がその典型として語られる。

ポルスカダンス

ルンドポルスカ(Rundpolska)

編集中

ダンス・音楽

ガンマルダンス

スペル:Gammaldans
19世紀後半にスウェーデンはじめ北欧諸国で広く踊られていたダンス。
・ワルツ(ヴァルス):vals
・ショッティス(ホッティス):schottis
・ポルカ:polka
・マズルカ:mazurka
・ハンボ:hambo
(・スノア:snoa)
上記5(ないし6)種類を指す。

ヴァルス(ワルツ)

スペル:vals
8分音符系3拍子。
ガンマルダンス(Gammaldans)の一種。
踊りは「2歩のヴァルス」と「3歩のヴァルス」との2種類がある。
「2歩のヴァルス」はターーーター
「3歩のヴァルス」はタータタター
というイメージでそれぞれ弾く。

3歩のワルツの例

ショッティス(ホッティス)

スペル:schottis
4/4拍子
ガンマルダンス(Gammaldans)の一種。
跳ねるリズムのものと跳ねないリズムのものとがある。

ハンボ

スペル:Hambo
3/4拍子
ガンマルダンス(Gammaldans)の一種。
ダンスは一歩めで沈み、二歩めで浮く。
この動きにいかに乗るか、もしくは乗せるか。
ここが演奏していて楽しいポイント。

楽曲

Byggna’n

Byss-Calleの作ったポルスカ。彼の残した曲を集めた楽譜集『57 Låtar efter Byss-Kalle 』の48番目に収録。他にも『Svenska Låtar (SvL)』や『Upländisk Folkmusik (UF)』にも収録されている。
『57 Låtar』『SvL』と『UF』とで同じタイトルだが旋律が大きく異なっている。これは前者がAugust Bohlin の演奏が元となっており、後者はPer Johan Bodin の演奏が元になっている。

ダンス用語

LOD

社交ダンス用語。
「Line Of Dance」の省略形で、ダンスを踊っていく方向(進行方向)のこと。
基本は反時計回り。

ボールターン

足の指の付け根あたり、骨で言うと中足骨を軸に回転すること。

ヒールターン

かかと部分を軸に回転すること。

Byggde Dans 様々な町のダンス(主に音楽的側面から)

Polska från Åmot

読み:ポルスカ・フラン・オーモット
ÅmotはGästrikland(イェストリックランド)地方の町の名前。
16分音符系均等ポルスカを用いる。

Polska från Bingsjö

読み:ポルスカ・フラン・ビングショー(ビングフェー)
スウェーデン語の発音だと「ビングフェー」と表記するのがより近いが、「ビングショー」と呼ぶ人の方が多い。
BingsjöはDalarna(ダーラナ)地方の町の名前。
16分音符系均等ポルスカを用いる。

Polska från Rättvik

読み:ポルスカ・フラン・レトヴィク(レットヴィーク)
RättvikはDalarna(ダーラナ)地方の町の名前。
8分音符系不均等ポルスカを用いる。
ダンスの伴奏の際は3拍目を伸ばすよう意識するとダンスに合わせやすい。
Polska från Bodaと使われる曲も被っていることがあるため、個人的には両者の違いを表現するのが難しい。

Polska från Boda

読み:ポルスカ・フラン・ボーダ(ブーダ)
スウェーデン語の発音だと「ブーダ」と表記するのがより近いが、「ボーダ」と呼ぶ人も多い。
BodaはDalarna(ダーラナ)地方の町の名前。
8分音符系不均等ポルスカを用いる。
ダンスの伴奏の際は2拍目を伸ばすよう意識するとダンスに合わせやすい。
また、「卵の形」を意識すると良いそう。
Polska från Rättvikと使われる曲も被っていることがあるため、個人的には両者の違いを表現するのが難しい。
Bondpolskaとニュアンスが近いので、個人的には両者の違いを表現するのが極めて難しい。

Polska från Ore

読み:ポルスカ・フラン・オーレ(オゥーレ)
スウェーデン語の発音だと「オゥーレ」と表記するのがより近いが、「オーレ」と呼ぶ人の方が多い。
OreはDalarna(ダーラナ)地方の町の名前。
16分音符系均等ポルスカを用いる。
演奏するだけだとそれほど難しくないのに、ダンスの伴奏で弾くとなると非常に難しく感じる。

Bondpolska från Viksta

読み:ブンドポルスカ・フラン・ヴィクスタ
VikstaはUppland(ウップランド)地方の町の名前。
Viksta LasseのVikstaはこれ。
8分音符系不均等ポルスカを用いる。
ダンスの伴奏の際は2拍目を伸ばすよう意識するとダンスに合わせやすい。
また、「1拍目でシャベルを土に突き刺し、2拍目で掘り起こす」イメージを持つと良いそう。
Bondpolskaとニュアンスが近いので、個人的には両者の違いを表現するのが極めて難しい。

Hambopolska med vals från Järvsö

読み:ハンボポルスカ・メド・ヴァルス・フラン・イェルブセ
JärvsöはHälsinglandの地方の町の名前。
「イェルブセ」がスウェーデン語の発音に近いが、ダンス界隈では「ヤルブソー」で通じる。
曲は8分音符系不均等ポルスカを用いる。
名前の通り、Aパートでハンボ、Bパートでヴァルスというように二つのダンスを交互に踊る。

Polska från Orust

読み:ポルスカ・フラン・オルスト
Orust はBohuslän 地方の町の名前。
曲は3連符のポルスカを用いる。
テンポが速めで、ストーリー性を感じられるダンス。

Föllinge

読み:フォーリンゲ、フェッリンゲ
Föllinge はイェムトランド(Jämtland)地方にある町の名前。
演奏する速さによって様々なダンスが踊れる。
以下は一例

  • Hambopolska från Föllinge
  • Gammalpolska från Föllinge
  • Åtabakspolska från Föllinge
  • Gammalvänster från Föllinge

曲は3連符のポルスカを用いる。
イェムト・ストローク(Jämt Stråk)という独特の弓使いがあり、フォーリンゲの魅力はここにあると言っても過言ではない。

参考文献・サイト

Andersson, Nils. Svenska Låtar.

書籍・楽譜

Andersson, Olof. Berömda Uppländiska Spelmän.

Liljefors, Ruben. Upländisk Folkmusik.

Uplands Spelmansförbund. 57 Låtar efter Byss-Kalle.

論文

Hallenberg, Aron. “BYSS-KALLE: Till 100-årsminnet av den uppländske storspelmannens död”, ÅRSBÖCKER FRÅN 1940-2017 och REGISTER PUBLICERADE.

Kaminsky, David. “Total Rhythm in Three Dimensions: Towards a Motional Theory of Melodic Dance Rhythm in Swedish Polska Music.” , Dance Research 32(1).

サイト

Wikipedia,s.v. “Anders Ljungqvist,” last modified December 16, 2022.
https://sv.wikipedia.org/wiki/Anders_Ljungqvist

Wikipedia,s.v. “August Bohlin,” last modified December 16, 2022.
https://sv.wikipedia.org/wiki/August_Bohlin

Wikipedia,s.v.“Byss-Calle,” last modified December 15, 2022.
https://sv.wikipedia.org/wiki/Byss-Calle

Wikipedia,s.v.“Nyckelharpa,” last modified December , 2022.
https://sv.wikipedia.org/wiki/Nyckelharpa

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